不動産株にゼファーの連想売り、9月に向けて正念場

[東京 22日 ロイター]

不動産株の下げ相場が厳しさを増している。ゼファー<8882.T>が18日に民事再生手続き開始を東京地裁に申請したことがきっかけだが、業界環境はさらに悪化するとの見方も出ており、連想売りが広がっている状況だ。



金融機関が四半期累計決算(旧中間決算)を迎える9月に向け、ここからが正念場になるとの見方も出ている。1年前まで好調が際立っていた不動産業界は、改正建築基準法の施行による建築確認の長期化が注目された昨年後半から変調が目立ち、その後の不動産融資縮小、それに伴う急激な市況軟化と坂道を転がり落ちるように状況が悪化している。金融機関の不動産業界に対する姿勢が厳しさを増し、資金繰りを悪化させる企業が増えているという。



資金繰りに行き詰まり民事再生法申請に追い込まれたゼファーの飯岡隆夫社長も、18日に行われた会見で「金融機関の不動産セクターへの融資姿勢は1、2、3月と月を追うごとに非常に厳しくなった」と述べていた。


<金融機関の融資姿勢、不動産業界向けは慎重さ増す>

金融機関の融資姿勢が慎重となった当初は、サブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅ローン)問題の深刻化を背景に、欧米金融機関を中心に不動産証券化に不可欠なノンリコースローンをめぐり、融資に対する姿勢の変化を背景に対象の選別化が進展。投機的な案件に対する融資が手控えられるといった側面が強かった。


しかし「ここにきて、全体的に不動産融資に対し、慎重になる傾向が出てきた。その要因として高騰したマンションの買い控えなどを背景にした市況悪化も大きい。在庫を売ろうにも売れずにバランスシートは悪化する方向で、金融機関が融資に慎重になるのは当然」(証券系調査機関の不動産担当アナリスト)という。

こうした状況に関してクレディ・スイス証券・アナリストの大谷洋司氏は「ファイナンスの問題から、市況悪化そのものに不動産不況の焦点が移った」とした上で「不動産の価値が下がり、投売りが出て、さらに価格が下がる──といった負の連鎖が始まった。今回の不況は大手クラスも無傷で済まないのではないか」と指摘している。


市場では「今後も業界環境が一段と悪化するとの見方が多く、ゼファーからの連想売りが中堅クラスを中心に今後も広がる可能性もある」(準大手証券情報担当者)との声も出ていた。


<追い貸し受けられない企業、株価変動大きくなるリスク> 

 もっとも株式市場全体への影響は、それほど大きくなっていない。不動産株の中にはストップ安に沈む銘柄が目立ったが、気にする様子もなく、日経平均は堅調に推移している。市場では「中堅クラスを中心に不動産株が大きく崩れたものの、こうした悪材料もマーケット全体の足を引っ張った雰囲気は感じられない。前場中盤から株価の戻りが全体的に鈍くなったのは、東証のシステム障害が影響したのではないか」(SMBCフレンド証券・投資情報室次長の松野利彦氏)といった見方もあった。

サブプライムローン問題に関連した国内金融機関の影響が軽微で、1980年代後半の土地バブル崩壊後に見られたように、国内不動産市況悪化をきっかけにした金融不安の高まりといった現象は、大きく膨らまないだろうとみられている。そのため株価全体への影響は限定的になっているものの、不良債権の拡大にこりている金融機関が先手を打って不動産会社の資金の蛇口を閉め、苦境に陥った不動産会社を追い込むとの指摘もある。



先の証券系調査機関の不動産担当アナリストは「借り手が一行集中していたないためリスクが分散され、過去とは異なり銀行自体に体力がある。このため厳しい企業に対しては追い貸しせずに償却を考えるとみられる」と指摘。その上で「9月の決算では、金融機関が締めてかかることも想定され、不動産セクターはここから正念場を迎えることも想定できる。思惑が生じやすく、株価は変動が大きくなりそうだ」と話していた。

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