評価損をいかにして解消するか

前回、売り・買い同枚数にした時点で評価損益は固定される、という【1-1】ポジションの特殊性について解説いたしました。

今回は、固定された評価損を少なくする方法。あるいは、保存された利益を拡大する手順について解説いたします。

■前回のポジションの内訳

・85円買い×1枚
・84円売り×1枚

という10,000円の評価損で固定された状態でした。

次なるステップとして考えるべきは、いかにこの評価損を解消するかという一点に集約されます。

実は、行う手順自体はすごくシンプルだったりします。

どちらか片方の建て玉を決済し、【1-1】状態を崩す。ただそれだけで、損益の固定状態が解除されます。

■ケース1.80円になった時点で売り玉を決済

・85円買い×1枚→50,000円の評価損
・84円売り×1枚を決済→40,000円の確定益

【1-1】ポジション解体後は、損益は残された85円の買い玉の動向次第となります。

・残りポジション:85円買い×1枚

確定利益 評価レート 評価損益 差引利益
40,000円 80円 -50,000円 -10,000円
81円 -40,000円 ±0円
82円 -30,000円 +10,000円
83円 -20,000円 +20,000円
84円 -10,000円 +30,000円

上表を見ると、決済レートである80円を基点に差引利益が変動しているのがお分かりになるかと思います。

-10,000円の状態からスタートして、81円になればトータルの損益は±0円、84円になれば+30,000円と言った具合です。

実際に手元にあるのは85円の買い玉ですが、損益の振る舞いだけを考えると、仮想的には80円の買い玉があると考えても差し支えありません。

・仮想の80円の買い玉を想定した場合
(※スタート時に固定した損失額:-10,000円)

スタート時 評価レート 評価損益 差引利益
-10,000円 80円 ±0円 -10,000円
81円 +10,000円 ±0円
82円 +20,000円 +10,000円
83円 +30,000円 +20,000円
84円 +40,000円 +30,000円

この一例から、【1-1】ポジションを解体した時点から損益が発生する、という普遍の原理を導くことができます。

ここまでの結論。

・【1-1】ポジションを構築すると、その時点で損益が固定される
・【1-1】ポジションを解体すると、その時点から損益が発生する

さて、この原理をひとたび理解するとトレードの幅が異常に広がります。結果的に、損切りは一切不要となります。

なぜなら、損切りするよりもツナギ売りした方が確実に資金効率が良いから。

ツナギ売りの利用方法はほぼ無数に考えられますが、まずは損切りよりも確実に有利だという点を証明したいと思います。

両建てが損切りの代わりになる理由

なぜ両建てをするのか。

よく挙げられる理由としては、損切りの代わりになるからというのが一般的な回答かと思います。

では、具体的に考えてみましょう。

仮に1ドル=85円のタイミングで米ドルを1枚(1万通貨)買い建てたとしよう。ポジション構成は、

売り玉の枚数 - 買い玉の枚数

という表記に従うと、

0 - 1

となります。ポジション表記が分からない方は、『ツナギ売りの具体的なやり方』を参照ください。

仮に、損切り条件を1円幅の逆行とします。

通常の損切りの場合は、1ドル=84円を下回った時点で損切りとなり、ポジションは手元に何も残りません。

一方、84円でツナギ売りをした場合、ポジションは

1 - 1

となります。ポジションの内訳は、

・85円買い×1枚
・84円売り×1枚

となっています。この両建てポジションが損切りの代わりになるという理由は、

■ケース1.その後、80円になった場合

・85円買い×1枚→50,000円の評価損
・84円売り×1枚→40,000円の評価益・・・差引-10,000円

■ケース2.その後、90円になった場合

・85円買い×1枚→50,000円の評価益
・84円売り×1枚→60,000円の評価損・・・差引-10,000円

■ケース3.その後、80.5円になった場合

・85円買い×1枚→5,000円の評価損
・84円売り×1枚→5,000円の評価損・・・差引-10,000円

上記のような具合に、売り・買い同枚数にした時点で、その後のレートがいくらになろうと、評価損益は固定されるという性質があります。

これが、【1-1】ポジションの特殊性です。両建ては損切りの代替となると称される所以ですね。

【1-1】ポジションに逃げ込んだ時点で、評価益を保存することができます。また、評価損が発生していた場合は、その時点で出血を止めることができます。

・・・でも、それって損切りと何が違うわけ?という質問が聞こえてきそうです。ここまでなら、損切りと両建てとの機能自体に差異は無いように見えますが、実はここから先の展開が両建ての優位性を際立たせるのです。

FX業者が両建てを推奨しない理由

よく質問されます。

「両建てって何のためにするんですか?」と。

言外には、正直意味ないですよねという含みを持ちつつ。まあ、その質問の意図は分からないでもありません。

何せ、胴元であるFX業者自体が両建てについて理解を示していないのですから、そりゃあ両建ての意義が分からなくて当然です。

以下は「両建てはできるか」という問いに対するFX業者の回答例。

両建てはできますか? 【某FX業者から引用】

できます。

ただし、以下に挙げるような経済合理性を欠くなどデメリットもございますので、当社といたしましてはお勧めいたしません。

(1)BidとAskに差があるため、お客様の負担するスプレッドコストが二重にかかること
(2)スワップポイントに売りと買いで差があるため、差し引きするとマイナスとなってお客様のコストとなること
(3)電話取引の場合、手数料相当金額が二重にかかること

一見正論ぽく見えますが。ここで提示されているのは、あくまで両建てのデメリットだけです。

両建てのメリットについては何ら言及されておりません。

しかしながら、デメリットを上回る効能さえあるならば、両建てしたっていいハズです。デメリットだけ論じったって、メリットも併記されなければ他の選択肢との相違を比較検討できない訳ですよ。

・・・でしょう?

だから、真に語られる必要があるべき要素は、両建てをすると具体的にどんなメリットがあるのさ?という、まさにその一点。

・・・のはずなんだけど、両建てのメリットを語れる人ってあんまりいないんですよね。何せ、両建ての使い方次第であらゆるケースが出来するから。

要するに考え得るパターンがやたら多くて、意味もなく複雑な訳だ。両建てスキームは。

そんな訳で、両建てを偏愛する一投資家の立場として、FX業者が絶対に提案しないであろう両建ての使い方なんぞをご紹介したいと思います。結論はまた次回にでも。

ツナギ売りの具体的なやり方

具体的に、「ツナギ売り」ってどうやればいいのか?

たとえば、ドル円を1万通貨(=1枚)買い建てたとしましょう。この場合、ポジション表記は

売り玉の枚数 - 買い玉の枚数

という具合に表記すると、

0 - 1

となります。さて、ここで普通に損切りした場合、手持ちの買い玉が無くなるので

0 - 0

となりますよね。

では、「ツナギ売り」の場合だとどうなるのか?こうなります。

1 - 1

要するに、買い玉を建てた後、そのポジションを損切りせずに保有継続したまま、新たに売りポジションを建てること。それがツナギ売りの具体的なやり方です。

売買操作的には、決済売りをするか、新規売りをするかの違いしかありません。複雑なことはなーんにもありません。・・・よね?

ちなみに、この【1-1】ポジションですが、売り玉と買い玉両方が同時に存在している状態のため、両建てとも呼ばれます。

なんでこんな事するワケ?よくわかんねーよって思いますよね。

その意見は正しいです。だって、FX業者ですら両建ての意義を理解していませんから。

両建て戦略に関して、基本的にFX業者は非常に懐疑的です。「両建ては経済合理性を欠く」とのもっともらしい理由でデメリットばかりを強調します。真に問うべきなのは、メリットの方なんですけどね。

補足:ポジション表記について

今回はポジションの構築に役立つ豆知識をご紹介します。投資には二つのポジションがあるのはほとんどの方はご存知だと思います。

一つは買いポジション買い玉と言ったり、ロングなどとも呼びますが、全て同じ意味です)。

もう一つが売りポジション(同じように、売り玉ショートなどと表現します)。株式投資などの場合、売りポジションとは空売り(信用売り)のことですね。

で、売りと買いのバランスがどうなっているのかを簡単に表わせる表記方法があるんですよ。それが、これ。

売り玉の枚数 - 買い玉の枚数

売買対象とする通貨はなんでも構いませんが、仮にドル円を例に考えてみることにしましょう。1万通貨単位で売買する方の場合、3万通貨の売買であれば3枚、10万通貨であれば10枚といった具合に、取引する最小単位を1枚と規定します。

1000通貨単位で売買している方であれば、3万通貨の売買は30枚、10万通貨は100枚となります。ご自身が売買している最小ロット数を基準に適宜読み換えて考えてみてくださいね。当ブログでは、1万通貨=1枚と表現することにいたします。

ポジション表記の詳細についてはこちらをご覧ください。

下げ相場っぽい局面の対処法

下げ相場っぽい局面で、ツナギ売りを使うらしいと前回お話いたしました。

はい、では質問です。

あなたは今、買いポジションを持っているとします。投資対象は何でも構いません。株でも、為替でも。

明日はなんだか下げそうだな~、とか、実際にガンガン値下がりしている、まさにその時!

具体的にどうします?

1.見ないフリ・・・そのうち戻るだろ。下がんじゃねーよ、ボケ
2.さっさと損切り・・・ま、大損するよりいいだろう

傾向として、素人トレーダーほど1.を選ぶ傾向が強いです。で、予想以上に急落下する展開で致命的な大損をします。

これ、黄金の負けパターンです。

デモトレードとかだと余裕で損切りできるんですけどね。リアルマネーじゃないので。別に、負けても自分の懐は痛まないので。

しかしながら、損切りが上手にできないといずれ大損します。結局、生き残るのは2.を躊躇なく選択できるトレーダーだけです。

・・・でも、「損切り」って難しくないですか?
・・・できることなら、「損切り」なんてしたくないですよね?
・・・ただ、大損しないためには「損切り」って重要ですよね?
・・・これ、結構ジレンマじゃないですか?

はい、ここ結構に悩むところですねー。

生き残るためには、損切りは必要不可欠。でも、損切りなんて極力したくない。

実は「ツナギ売り」を覚えると、このジレンマはあっさりと解決します。損切りはしない。でも、損失額は限定できる。とまあそんな感じであります。

損切りを実行しないでも、損失範囲を限定できるようにならば、損切りする必然性ってないですよね?

じゃあ、具体的にツナギ売りってどうやるの?手順は実に簡単です。

ツナギ売りとは何か

「ツナギ売り」とは何か?

細かな原理はさておき、一言で説明するならば、一部のプロ相場師が愛用する超マニアックな投資手法です。

ちなみにウィキペディアを調べると、以下のような意味不明な説明がされております。

つなぎ売りとは株式投資についての用語で、信用取引を駆使した取引手法の一つ。相場の下落が見込まれる局面において、保有している「現物株」を売らず、同じ銘柄を「信用取引で空売り」すること。

・・・むむむ、何かの呪文でしょうか?

この説明だけでツナギ売りを理解できる方がいれば、間違いなく天才です。

どうやら株式投資をする際に使うターム(用語)らしいな。そんで、下げ相場っぽい局面で使うのか?ひとまず現段階ではその程度を御理解いただければ十分です。

いちおう補足しておくならば、別に株式投資に限りませんし、下げ相場以外でも使えるよーってとこぐらいでしょうか。更に言うならば、ツナギ売りは株式投資よりも断然FX投資との相性が良い、ということも覚えておいてくれると嬉しいなあ。

下げ相場っぽい局面でツナギ売りは効力を発揮しますが、明日はなんだか下げそうだな~、とか、実際にガンガン値下がりしている、まさにその時!あなたは具体的にどうしていますか?