損切り後に反発するジンクスを避ける方法

ここまでは【11】とした後の展開として更に下がる、つまり通常の損切りが有用だったという場面を想定してきましたが、今回は損切り実行後に反発するというケースを考えてみることにしましょう。

●参考:事前設定のレートで損切りした場合

100円で1枚買い ・・・ 01
98円で損切り ・・・ 00】 (-2万円の損失)

98円で損切り後に仮に102円になったとしましょう。両建てを介さない通常の売買であれば、100円よりも安く買い戻せなければ損切りタイミングとしては失敗の範疇に入ります。

98円で損切りを実行した後、100円付近で再度買い戻すという逆指値注文を指定しておけばポジション構成自体は復元するものの、結局のところ損切りするメリットはあまり無かったことになります。2万円の損失を確定しただけに過ぎません。

逆指値注文を指定せず、損切りによって手持ちポジションがすべて解消された後に102円となっていた場合、新規のエントリーとしてまず「買い」「売り」かの判断を委ねられます。要するに102 円で買うのか、売るのか。はたまた見送るのか・・・。

トレンドフォローを前提に102円で買い建てた場合

ルール1に従えばリミットは105円、ストップは100円と自動的に決まります。ここでストップに引っ掛かれば、二重の損切りとなり気分はあまりよろしくないこと請け負いです。

首尾よく105円になったとしても、以前に損切りした100円の買いポジションがあれば、詰まるところ損切りさえしていなければ5万円儲かったはずなのになあ、などと悔やむこともあるでしょう。

何もせず、ただ経過観察していた方が好結果に転ぶことが多いのは相場の常です。それこそ結果論ですが(※ただしルール1に厳密に従っていれば103円で利食いしているので利益は3万円となる)

一方、102円からの反転を見込んで売り建てた場合

同じくルール1によってリミットは99円、ストップは104円と決まります。ここでもストップのお世話になった場合、買いでエントリーして損切り、そして売りでエントリーして損切りという、まるで相場変動から個人攻撃を受けたかのような仕打ちに対して軽い憤りを感じること必至です。

常に市場の逆を張るコントラリアン(逆張り派)の宿命とはいえ、何度も続けて自らの売買判断が裏目に出れば順張り派への転向が頭をもたげても何ら不思議ではありません。

相場はメンタル面の要素を抜きに語ることはできない代物です。売買テクニックを学ぶことで日々の精神的ストレスを軽減できるのであれば、相乗効果によって運用成績も向上してくることでしょう。ここに売買テクニックを学ぶ価値があるのです。

102円で売りポジションも買いポジションも建てず、見送った場合

ここから103円、104円と推移していくのを為す術なく見守れば、98円で損切りしたことを心底後悔するはずです。人間心理は複雑に見えて案外単純にできているのか、損切りの実行タイミングが裏目に出たトレーダーの大半は損切りの必然性に疑義を感じ、だんだんと損切りを設定することを億劫がるようになります。

そして、損切りを設定していない時に限ってポジションと逆方向に振れて大損するといういつの世も変わらない悲惨な光景が幾度となく繰り返されるのです。

いずれにせよ損切りしてポジションをすべて解消した時点で売買の継続性が途切れることになり、再エントリーのタイミングを計る過程であれこれ悩むことになります。売るのか、買うのか、見送るのか、と。

しかしながら、両建てを前提にトレードしていた場合、102円でエントリーするならばほぼ自動的に「売り」と決まります。

●102円の時点で売り建てた場合のポジション推移

100円で1枚買い ・・・ 01
98円でツナギ売り ・・・ 11】 (-2万円の評価損
102円で1枚売り ・・・ 21

この【21】ポジションになった時点で、

ルール1:1枚あたりの最大利益額3万円最大損失額2万円

に従うと、102円の売りポジションは104円になった時点で損切り、あるいはツナギ買いの逆指値注文を指定しておくことになります。もしこの逆指値注文が執行されれば、【11】ポジション構築時に固定された2万円の評価損と合わせて4万円の損失となります。

104円というストップラインが決まったところで、100円の買い玉をそれより手前のレートで決済してみることにしましょう。この手順は先に考えてきた【1-2】ポジションの外し方とまったく同一の手順です。唯一異なるのは、手仕舞いするポジションが売り玉なのか、買い玉なのかという点だけです。

○買い玉を102円で決済後、99円になった場合(Goodシナリオ)

100円の買い玉を102.00 円で決済後、ルール1の利益3万円という条件から導かれる99円の段階で残された2枚の売りポジションを処理すると、トータル4万円の利益になります。

100円で1枚買い ・・・ 01
98円でツナギ売り ・・・ 11】 (-2万円の評価損
102円で1枚売り ・・・ 21
●まず買い玉を決済する
100円の買い玉を102円で決済 ・・・ 20】 (+2万円の利益確定)
残った2枚の売り玉を決済する
102円の売り玉を99円で決済 ・・・ 10】 (+3万円の利益確定)
98円の売り玉を99円で決済 ・・・ 00】 (-1万円の損失確定)
●トータル収支 +4万円


○買い玉を102円で決済後、104円になった場合(Badシナリオ)

他方、買い玉を外した後、ルール1の損失2万円という条件から導かれた104円のストップラインに抵触すれば、トータルで6万円の損失となります。

100円で1枚買い ・・・ 01
98円でツナギ売り ・・・ 11】 (-2万円の評価損
102円で1枚売り ・・・ 21
●まず買い玉を決済する
100円の買い玉を102円で決済 ・・・ 20】 (+2万円の利益確定)
残った2枚の売り玉を決済する
102円の売り玉を104円で決済 ・・・ 10】 (-2万円の損失確定)
98円の売り玉を104円で決済 ・・・ 00】 (-6万円の損失確定)
●トータル収支 -6万円

以降、買い玉を決済するレートを10銭ずつずらしていくと損益分布は下図のようになります。決済するレートは異なるものの、【1-2】ポジションの売り玉のみを外した場合の損益分布とまったく同一であることはお分かりいただけることと思います。

102円での売り玉の枚数を2枚、合計【31】ポジションとした場合の損益分布です。

同じく、売り玉の枚数を3枚、合計【41】ポジションとした場合

こういった具合で、損切りによってポジションをすべてクローズするのではなく、一旦【11】ポジションを構築した後に、買い玉ないし売り玉を積み増すことで以下のような恩恵を得ることが可能となります。

本章の冒頭で、損切りが有効に機能する前提として以下の3項目を挙げました。(※買いからエントリーした場合)

1)損切り執行価格よりも安く買い戻す
2)買い戻した後、再度の損切りには引っ掛からない
3)買い戻した価格を基点に利食い想定レートまで反転する

この3項目のうち、損切りではなく両建てを活用することで、

1)損切り執行価格よりも安く買い戻す

という前提条件の成立が不要となります。これにより、両建てが機能するための諸条件は3つではなく2つに絞り込まれることになります。

2) 買い戻した後、再度の損切りには引っ掛からない
3) 買い戻した価格を基点に利食い想定レートまで反転する

提示したルールが逆張りである以上、事前設定した損切りラインに引っ掛からないこと、および再エントリー後に利食い想定レートまで反転する事が必要となる点に相違はありませんが、利益となるためにクリアすべき条件が3工程ではなく、2工程になっただけでも精神的な負担はかなり軽減されることでしょう。

何よりも、損切りに取り組むのに厄介な点が、損切りした後にそれより安く買い戻さなければ意味を為さないという一点に尽きます。両建ての場合はこの難問をあらかじめクリアしているのです。

もちろん、その代償として通常の損切りに比べるとストップラインに引っ掛かった際に損失額が増加することになりますが、まったくリスクを負わずに評価損を解消する方法など残念ながら望むべくもありません。

事前にどこまでの損失なら引き受けられるのか。見込み通りに展開した際にどれだけの利益を得られるのか。いろいろと頭の中でシナリオを描きつつ、相応のリスクをとる。その点は損切りの場合もツナギ売りの場合も違いはありません。

両建てによってポジション構成が【11】(ないしその整数倍)になると評価損益が固定されること。これがすべての現象を司る中核概念であり、先の片外しによって損益分布を調整する売買例も両建ての使い方の応用例の一つにしか過ぎません。

この両建ての原理をさらに拡張すると便利な半自動売買ルールの構築に至る訳ですが、そこらへんの詳細は「勝率9割!損切り不要のFX投資術」でお話ししておりますのでご興味ある方はご覧ください

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■カスタマーレビュー
★★★★★あー、意外とこんな緩めの売買で良いんだなー
★★★★☆:両建ては、やっていてとても楽しいです
★★☆☆☆:あまりにFXトレードを軽視及び偏視し過ぎている
☆☆☆☆:FXでのツナギ売買は無駄では?