損切りは「円満に離婚」するための技術である

前回の記事「両建て否定論者に酷評されているらしい」をアップしたら、その内容を言質にしAmazonレビューが燃えたようです。連鎖炎上?

またしても、栄えある★1つを頂戴した次第。さてと、それでは例によって火に油を注ごうではないか。我、新たなる燃料を投下す。

以下、Amazonレビューより全文を引用。

こちらの通り、両建てとは損切り+新規取引に比べて何の優位性も無くコストだけがかかる行為です
http://sal2.blog114.fc2.com/blog-entry-810.html

その記事を受けての筆者のブログで
http://www.tkc-bank.com/fx/2069/

>ポジション枚数を2枚にすれば損益分布は同じだという指摘は実際にその通りではありますが

損切りよりも両建ての方が有利だと言っていたのではないの?

>現実問題として負けた後にポジションサイズを大きくするのって基本的にご法度

これは筆者の推奨するつなぎ売りでも同じことで
1単位買い→買いが含み損の状態で1単位つなぎ売り→つなぎ売り外し→新規に1単位買いとすると、合計2単位の買いとなり
つなぎ売りした時点で負けているのにポジションサイズを倍にしています

また筆者のブログで、
http://www.tkc-bank.com/fx/comment/1628/

>「FXでのツナギ売買は無駄では?」という問いに対する答えは、「うん、だいたいにおいて無駄。でも、なかにはその非効率を愛する人もいるし、分かりやすくて効率的なことだけが価値ではないという意見があったていいはず

投資に非効率な事を持ち込んだら損失になるのは明白ですね。

両建てというのは損失を確定したくないと先送りするだけの行為です。自分の間違いを受け入れて損切りできない、相場で勝てない人の典型でしょう。

負けても損失を認めたくない!含み損が100万あっても確定益が10万だからまだトータルプラスだ!などと自分に言い訳をしたい方にとっては両建てというのは優れた手法なのでしょう。

反論1:損切りよりも両建ての方が有利だと言っていたのではないの?

どちらかが「あらゆる場面」において優れているなどという結論が導ける論題であれば、そもそもが議論の対象になり得ないはず。こういう場合ではこっちの方が有利だけど、こう言う場面ではこっちの方が不利だよね、という曖昧な決着になるのはある種の必然な訳です。

論題としては「持ち家か、賃貸かどっちが得か?」みたいなテーマと類似性があり、損か得かはぶっちゃけケース・バイ・ケースな点が共通するかと思います。てなことを考えると、どちらが損か得かに一定の結論を付与すること自体にあまり意味はなく、どういう使い方をした場合においてはどちらが損か得か、という状況設定こそがキーになると考えます。

つまるところ、どちらに利があるかは文脈依存的なのです。で、ぼくが提案しているのは両建ての使い方の一例でありますので、同じような使い方をした方が良いかどうかは運用者自身が個別に判断してくれればいいんじゃないかなーと思います。

反論2:つなぎ売りした時点で負けているのにポジションサイズを倍にしています

あくまで比較論的な記事であり、ポジション推移の差異が分かるようにごく単純にモデル化した内容です。実際に運用する場合は、どこまで損失が拡大するかを事前に織り込んでおき、無計画にポジションを拡大するような愚を避けるべきであると書籍中では明言しているんですけどねえ。

反論3:投資に非効率な事を持ち込んだら損失になるのは明白ですね

何をもって「明白」とするかこそ、挙証していただきたいですねえ。世界一の投資家であるウォーレン・バフェットの運用スタイルである「買ったら永久ホールド」というアプローチも、期間を区切れば「効率的」だとは言えない部分が多々あることでしょう。

効率か、非効率かが問題なのではなく、長期的なスパンでみて資金量が増えているかどうかが重要であろうし、実際に効率的かどうかはどういった時間軸で評価するかという視点を欠いたままに決着する代物でもないかと思います。

更に言えば、100万円の評価損に対して10万円の確定益があったとした場合、「トータルでプラスだ!」などと吹聴している訳ではありませんし、確定益に対して抱える評価損をいかに小さくするかというポジション操作をあれこれ考えているだけなんですけど。

まあ、そもそもが運用資金が1,000万円ぐらいあれば、別に100万円ぐらいの評価損があっても「一時的でありさえすれば」許容範囲だと思いますし。トラリピの考え方なんかもはやそれですし。要は資金量に比してどれぐらいの評価損まで許容できるかということを事前に考えてさえいれば、両建てすべきか、損切りすべきかは方法論の違いでしかないワケです。

あとは、概ねメンタル面の問題ですかねえ。

損切りするとポジションがオール・クリアになるので、また新たに投資に挑む気分をいちいち涵養させなきゃいけないのが億劫なのです。

評価損を抱えるのは投資プロセスの一部であるので、だったらそれを適切に「止める」ことさえできれば、いちいち損切りしなくて良くね?と考えるからこその両建てアプローチなのです。

だから、場合によっては損切りして身綺麗にすることもあるし、必然性がなければ切らないというだけです。

損切りか両建てかの選択は、破綻した結婚生活に対して、「離婚して心機一転しろ」か「妥協点を探って折り合え」というアドバイスに性質が近く、コスト面だけを勘案すれば事足りる訳でもないことは「明白」であろうと思います。感情面を抜きにして論じるのは片手落ちです。

投資活動において損切りは「円満に離婚」するための技術であり、両建ては「妥協点を見つけて折り合う」ための技術です。そもそもが方向性が異なるのです。でも、目指すところは一緒でしょう?お互い歩むべき道が違うというだけで。

もしも、「投資活動においてはコスト面だけを配慮すべきであり、感情面などは考慮すべきではない」とするのであれば、シグナル配信なり、自動売買なりを選択すればよいでしょう。運用結果を他人任せにしてもいい、というのであれば、ですけど。

でも、感情面を完全に排したトレードをしたとして、「その運用結果を実際に受け入れられるかどうか」には感情面がものすごーく関わってきますけど?

あらゆる運用の失敗の背後に感情は付きまとうものであるので、それをいかに「受容」するかというのは結構に大切なテーマだと考えております。コスト面だけを論じるのであれば、両建てアプローチなどは考えなくて結構です。

そういう方はぜひ「効率的に」市場と向き合って頂ければ幸いです。

Kindle ダイレクト・パブリッシング (KDP)で出版してみました
■武器としてのFX投資
Amazonで購入する
内容紹介
PDF版で読む

■本書の一部を試し読み頂けます
会社で干されたらFX投資を始めよう
なぜ日本人は投資ベタなのか
なぜ日本人は投資ベタなのか(2)
損が続いた時はどうすればいいのか
FX投資は退屈ぐらいがちょうどいい

■武器としてのFX投資2
Amazonで購入する
内容紹介
続編登場の経緯
PDF版で読む

■武器としてのFX投資3
Amazonで購入する
内容紹介
PDF版で読む

■武器としてのFX投資4
Amazonで購入する
内容紹介
PDF版で読む

■武器としてのFX投資5
Amazonで購入する
内容紹介

■カスタマーレビュー
★★★★★あー、意外とこんな緩めの売買で良いんだなー
★★★★☆:両建ては、やっていてとても楽しいです
★★☆☆☆:あまりにFXトレードを軽視及び偏視し過ぎている
☆☆☆☆:FXでのツナギ売買は無駄では?