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チーム・バチスタシリーズで一躍ベストセラー作家への道を駆け上った海堂尊。やはり現役の医師だけあって医療業界の描写が非常にリアルな訳ですが、本筋とはあまり関係のない部分に医療業界に身を置く立場の人間なら思わず妙に共感してしまうフレーズがところどころに散りばめられています。


医療業界に縁のない方にとっては業界の特殊性(多くの場合、閉鎖性とも言い換えられる)を知る一助になることでしょう。たとえば、ブラックペアン1988では医師国家試験を終え、新人研修医となった世良雅志医師の視点でこのように語られる。

ブラックペアン1988
ブラックペアン1988 海堂 尊

講談社 2007-09-21
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海堂尊ワールドの過去を固める
starアラフォー医師必読
starおなじみのメンバーが勢揃い

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一人前の医師として扱ってもらえないもどかしさ。技術をもたないゆえに唐突に襲われる無力感。そんな若者たちの恨みつらみが落葉のふきだまりのように寄せ集められる場所。それが大学病院だ。


―――こんな病院、とっととおさらばしてやる。病室の窓から空を見て、世良は一人心の中で吐き捨てる。研修医の嘆きが積もった大学病院の中庭には、透明な慰霊碑が無数に建てられているのだ。

ブラックペアン1988より引用・同63、64ページより】

文章を綴るという非常にパーソナルな行為においては、どうしても自分自身が見聞きしたり、直接に体験した感情しか書き記せないものだと思う。隠そうとしても、文章には本人の性格や人生観みたいなものが色濃く投影されるし。だとすれば、若かりし頃の海堂氏もどこかで作中の世良医師のような心境になったのかなあ。


そんなことを考えると、この業界も案外捨てたものじゃないのかなあとちょっぴり嬉しくなります。臨床医(治療をメインにするドクターのこと)として何年か経験を積むと、多くの医師はこういった若かりし時分の閉塞感や焦燥に似た感情はどこかに置き忘れてきてしまいがちのようだ。でも、たぶん忘れちゃいけないんだ。こういう言葉ではうまく言い表せないけれど、なんとなくもどかしい気分は。それが他者を理解するための引き出しの一つになるのだから。


ちなみに、プラックペアン1988では右も左も分からない外科医の一年坊主として描かれた世良ちゃんですが、極北クレイマーではジョン・レノン然とした風貌で、病院再建請負人として地方都市に颯爽と現れるのがめちゃめちゃ格好いい!!!・・・人に歴史あり、ってまさにこのことだなあ。二作続けて読むと、シビれます!

■関連記事: 極北クレイマー
双子の弟は、なぜだか会計学と経済学にちょっぴり精通しております。
特に、公認会計士であり、骨太かつ毒舌で知られる著作群で有名な高田直芳氏がお気に入りなんだそうです。今回の一冊は『会計は、コストをどこまで減らせるのか?』


会計は、コストをどこまで減らせるのか?
会計は、コストをどこまで減らせるのか? 高田 直芳

日本実業出版社 2008-07-10
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会計について認識を深めよう
star会計の"専門家"にも読んでもらいたい
star「現場の声」を通じて、コスト管理における経営層(主に中小企業)が意識すべき"視点"を提供してくれます

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本書を一読すると、コンビニ業界のフランチャイズ契約は、さながら会計詐欺だ!ということがよーーーく分かります。会計フォーマットを恣意的にいじくると、フランチャイズ側はコンビニ一店舗あたり年間約240万円ほど余分にロイヤリティ収入が得られるそうな・・・。


会計のルールを知らないがために、こんなところでもボラれてるんだなあ。
(以下の内容は、弟が書きました。・・・ところどころ難解)
 


2009年5月6日の朝日新聞朝刊の一面に、セブン・イレブンの独禁法違反容疑についての記事が載っていた。以下にその嫌疑の内容を引用する。

セブン・イレブンジャパン本部がフランチャイズ加盟店に対し、販売期限が迫った弁当などの商品を値引き販売しないように圧力をかけていたとして、公正取引委員会が昨年10月以降、独占禁止法違反の疑いで調査している。


契約では、売れ残り廃棄は全て加盟店負担となるため、店の経営に及ぼす影響が大きい。同社は「見切り販売の制限はしていない」と容疑を否認している。


ちなみにこれも情報源は同記事であるが、一ヶ月当たり各店舗が負担する廃棄コストは少なく見積もっても一日の売上高に相当するそうである。つまり、各店舗の一日平均売上が40万円とすると、一ヶ月の廃棄コストも40万円程度発生し、コンビニは全国で約4,5000店あるので、年間におけるコンビニ業界全体の廃棄コストは優に1,000億円を超えるそうである。




通常、権利や商標、ノウハウなどを提供する側をフランチャイザー(本部)と呼び、受ける側をフランチャイジー(加盟者・加盟店)と呼ぶ。今回の事例に当て嵌めると、セブンイレブン・ジャパン本社がフランチャイザーで、コンビニ加盟店がフランチャイジーである。




このフランチャイジーである各コンビニ加盟店が、廃棄コストの負担を承服した上で、定額販売の強制という価格統制をも承服せざるを得ない、というフランチャイザー・フランチャイジー間の明らかなパワーバランスの非対称性の一端には、会計知に疎い人種の誤認を促す損益計算書の仕組みがある。




そこで、コンビニ業界の基本フォーマットである損益計算書にはどのような仕掛けが隠されているのかを、架空の損益計算書を用いて具体的に例示している箇所があるので、以下に引用しよう。


コンビニ業界の裏側・損益計算書コンビニ業界の裏側・損益計算書
緑色で囲ってあるのですぐに気が付くと思うが、売上原価の内訳科目及び営業費の内訳科目として、商品廃棄ロスが二度も登場し、しかも減算科目と加算科目と正負が逆転して登場する、という点に気付くのが、仕掛けに嵌らない為の第一歩。



第二歩目は本部へのロイヤリティが、粗利益に特定のパーセンテージを乗算する事によって算出されている点に着目できるか否か。これに着目できれば、売上高?売上原価=粗利益であるから、フランチャイザーは売上原価を圧縮させて、粗利を過大に表示するインセンティブに駆られるだろう事も予想の範疇だろう。



そのような視点で売上原価の内訳科目をもう一度眺めてみると、当期商品仕入高を商品廃棄ロスの減算により圧縮して、圧縮によりバランスが崩れた分を営業費の内訳科目として再登場させてバランスを取ったんだろうな、と理解出来るだろう。



ちなみに、これをT勘定にしてみれば容易に理解可能であり、これを丹念に読み解けば、無理矢理挿入した貸方の商品廃棄ロスを当期商品仕入高に潜り込ませて相殺し、相手方である借方の商品廃棄ロスはそ知らぬ顔で、営業費勘定に付け替える、というプロセスを経て、売上原価を圧縮したのだな、という事が分かる。



本部へ支払うべきロイヤリティは粗利益の60%であり、損益計算書の構造を弄繰り回すことによって売上原価を400万円圧縮し、粗利益を400万円過大に算定したのだから、本部がコンビニ業界特有の損益計算書フォーマットを駆使して捻り出した超過収益は400万円×60%=240万円。



これはあくまでも一店舗当たりであり、セブン・イレブンは2009年2月現在、12,298店舗あるそうなので、仮に全ての店舗がフランチャイズ契約を締結していたとしたら、特殊フォーマットの損益計算書により稼得されるであろう超過収益は概算で、240万円/店舗×12,298店舗=295億1,520万円。



つまり、損益計算書の構造にちょいとばかり手心を加えただけで、商品廃棄ロスをフランチャイジー側に転嫁しつつ、ロイヤリティを通常よりも多めに貰えるわけだ。という事は、セブン・イレブンだけでなく業界他社も同様のフォーマットの損益計算書を用いた契約を行っているとすれば、前述の「年間におけるコンビニ業界全体の廃棄コストは優に1,000億円を超えるそうである」とは結局、フランチャイザーが各コンビニ加盟店から巻き上げた金額の総額をも意味している、という結論に至るのだろう。



フランチャイズは現在の荘園領主と小作人の関係に限りなく近い。本書で敬愛する会計マスター・高田直芳氏はそう語っていた。契約書の内容を吟味出来る知識が無ければ、ロイヤリティや商品廃棄コストの仕組みにどのような問題があるのか分からない。



安易な気持ちで脱サラし、コンビニ店主へと転身しても現実はそう甘くない。損益計算書の構造から、廃棄コスト負担のカラクリが透けて見える。魅力的な甘言に騙される事無く、その裏に隠された意図を暴き出す。フランチャイザーの価格統制とフランチャイジーの廃棄コスト負担の問題から得られる教訓は、やっぱり会計学って大切だ、ってコトだろう。



もったいないから食べ物の廃棄は止めるべきだというもっともな正論が罷り通らない、複雑に思惑が入り乱れた世界が存在する。まさに、現実社会における実在のケースから学ぶ、不都合な真実。

個人的には陰謀史観は眉唾モノだと思って忌避していたのだが、本書を読了後そのような偏見は良い意味で覆された。陰謀など企むまでもなく、既に全世界の経済システムは、とある一部の集団に握られている。


サブプライム・ローンの証券化について、その組成から問題点までを概説、詳説した書籍や、資本主義経済の終焉を謳った書籍は、今が稼ぎ時とばかりに山ほど出版されているが、その背景に伏流している人脈の相関関係には無関心。 本書は、この金融資本の表舞台で主役を張った大物達がどのような出自を持ち、どのような関係性を有しているのかを解きほぐした好著である。


資本主義崩壊の首謀者たち (集英社新書 489A)
資本主義崩壊の首謀者たち (集英社新書 489A) 広瀬 隆

集英社 2009-04-17
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star今回の大恐慌の本質を明かしてくれる最高の和書と思われる
star絶望君。。
star広瀬隆の入門書

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本書は、今回の経済不況についてこのように語る所から始まる。


好況時には、資本主義万歳。好業績に対する見返りは当然の権利とばかりにいただけるものは何でもいただく。何十億、何百億の超高額年棒にストック・オプション、未実現利益の先食いによるボーナス支給等なんでもござれ。


不況時には、経営責任を認めず、経済環境のせいにする。困った時には社会主義へと転向し、従業員を人質代わりに、ウチを潰したら世の中に失業者が溢れかえるけど、それでもいいの?と政府を恫喝する。


これは、国際的金融危機ではなく、国際的金融腐敗である。それも倫理的、及び精神的側面をも内包した根深い腐敗である。 ・・・・・・・と。



それでは本書に登場する、この金融腐敗を結果的に主導し、
金融物語の主役を演じた大物達を列挙してみよう。


・ロバート・ルービン(財務長官)
・ローレンス・サマーズ(財務長官)
・サンフォード・ワイル(シティグループ創立者・会長)
・アラン・グリーンスパン(FRB議長)
・ヘンリー・キッシンジャー(キッシンジャー・アソシエーツ会長)
・ポール・サミュエルソン(デリバティブの源となったノーベル経済学賞受賞者)
・リチャード・ファルド(リーマン・ブラザーズを破綻させたCEO)
・ジェームズ・ウォルフェンソーン(世界銀行総裁)
・マイケル・デヴィッド=ウェイル
 (ウォール街長者第一位のラザール=フレール会長)
・ペニー・ブリッツカー(オバマの金庫番)
・ジョージ・ソロス(ヘッジファンドの王様)


実は、彼ら全員がユダヤ人であるという共通点があるのだが、更に奥深い共通点にこそ、今回の金融腐敗物語を読み解く鍵が伏流している。 それは彼ら全員が、世界最大の金融財閥ロスチャイルドの息がかかった人脈である、という点。


つまり、一見近代的に見えるアメリカ政界もヨーロッパ財界も、中世の王室貴族と同じで、彼らのような人材に頼らなければ富める国を創ることが出来ない、という点に問題の根源が存在するのである。


ロスチャイルド財閥の息がかかったユダヤ人脈である、という事がどういう事か、具体的に著述されている箇所があるので、以下に少々長いが本書を引用してみよう。


シェイクスピアの戯曲『ヴェニスの商人』に登場する金貸し業者シャイロックが"強欲なユダヤ人"として描かれたことに代表されるように、中世のキリスト教徒が、ユダヤ人を蔑み、自分達キリスト教徒は「金銭に手を汚さない綺麗な人間だ」と、欺瞞に満ちた純潔ぶりを誇る一方で、国王から大僧正まで、裏では全てユダヤ人に金を借りずには戦争も何も出来ない社会制度を作り上げた事に、投資銀行の濫觴があります。



その為、産業革命と共に、現在のドイツ金融街、フランクフルトのユダヤ人ゲットーから台頭した両替商のロスチャイルド家の五人兄弟が、その類稀な才能を発揮して、ヨーロッパ全土で国家や王室を凌ぐ富商として財閥を形成してゆきました。



それだけではなく、その近親者であるユダヤ人一族の両替商(個人銀行家)が全世界に散らばって、互いに連携を取りながら、金銀ダイヤ取引と投資銀行を席捲する事になったわけです。


このキリスト教徒とユダヤ教徒の関係は、江戸時代にあったと言われてきた日本の士農工商に似ています。 商人が最下位に置かれながら、朝廷も藩主も武士も、鴻池や三井たち豪商の両替商なしには何も出来ず、江戸時代の発展は、商人に頼りきっていました。 武士が支配していたなどと後年に語られる士農工商の形式的な身分の上下は、実力の上では逆転していたのです。



こうして誕生したロンドンとパリのロスチャイルド銀行を中心に、ラザール・フレール、ハンブローズ銀行、SGウォーバーグ、オッペンハイム商会、ランベール銀行、クーン・レーブ商会、リーマン・ブラザーズ、ゴールドマン・サックス、ソロモン・ブラザーズ、LFロスチャイルド証券・・・・・、これらがすべてユダヤ人の、それも近親者の一族によって設立され、経営されてきました。



そして、 ハンブローズ銀行はフランスの大銀行ソシエテ・ジェネラルに合体、SGウォーバーグはスイスの大銀行UBS(スイス・ユニオン銀行)に合体、クーン・レーブ商会とソロモン・ブラザーズはアメリカの大銀行シティ・グループに合体という具合に、世界の大銀行が投資事業へと本格的に進出する際に、ロスチャイルド系のマーチャント・バンカーの手を借りるという構図が出来上がります。

つまり、彼らライバル銀行同士がロスチャイルド系マーチャント・バンカーを媒介にして、国際的なシンジケートを組んでいるわけで、国際的金融マフィアと謳われる所以がここに存在するのである。


リーマン・ブラザーズは破綻したし、ゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーは銀行持ち株会社に移行した。メリル・リンチはバンク・オブ・アメリカに、ベア・スターンズはJP・モルガン・チェースに買収されて、業界第一位から五位まで皆いなくなってしまったから、投資銀行の時代は終焉したんでしょう?


この無邪気な疑問が、まるで見当違いかつ事実誤認である事が、今までの引用と説明から分かるだろう。


今回の経済不況は、構築された経済システムそれ自体の内包するシステムエラーが顕在化したものであり、金融危機を全世界にばら蒔いた張本人を探し出して、その罪状を糾弾するだけでは抜本的解決足りえない。


確かにロバート・ルービンやローレンス・サマーズ、アラン・グリーンスパン、ベン・バーナンキ、リチャード・ファルドといった面々には、一連の事柄に対する結果責任が問われて然るべきではある。


しかし、それは単なる対症療法。 国民感情の一時的ガス抜き程度の効能しか期待出来ない。根本的原因はユダヤ人を軽蔑、迫害し続けるその裏側で、ユダヤ系金融ネットワークの力に依存しなければ、早晩立ち行かなくなる社会構造が厳然と存在する点にある。


まぁ、根本的原因が分かったからといって、どうにかなる問題ではないが、政府と金融業界、それにIMFやWTOといった国際的な機関の要職全てに、ユダヤ系人脈が根を張っているのが諸悪の根源と断罪して、ユダヤ人迫害を是とする世論が蔓延る事自体には承服しかねる。


そもそも、世の中を良くする為とかいって、ユダヤ人迫害の正当性を主張するのは、明らかに論理のすり替えだし。 世の中には解けないパズルが多すぎる。要はそういう事なのだろうか。

新しいアイディアはごく限られた天才の頭上にのみ降り注ぐ天啓などではなく、ましてや無から有を創造するものでもない。それは、既存のものと既知のものを今までに無い組み合わせで再構築したものである。


金融業界とエンタテイメント業界。


この接点の欠片も無いような、あまりにもかけ離れた業界同士の知識や技術を掛け合わせて再構築したら、エンタテイメントの証券化という魅力的な解答が導きだされた。 このエンタテイメントの証券化という未開の領域へと踏み込み、金融業界とエンタテイメント業界双方の可能性の拡充に先鞭を突き付けた筆者ふたりが語る体験談には、先駆者ならではの苦悩と、それを大きく凌駕する希望が詰まっている。


以上、オシマイ。


文化に投資する時代
文化に投資する時代 亀田 卓

朝日出版社 2009-02-27
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・・・・・・・では、あまりにも味気ないので、金融業界とエンタメ業界の食い違いっぷりがどれ程のものかを少々書き散らしてみたい。

育ってきた環境が違うから好き嫌いはイナメナイ
夏がだめだったりセロリが好きだったりするのねましてや
男と女だからすれちがいはしょうがない

と、山崎まさよしはセロリで唄っているが、金融業界とエンタテイメント業界はあまりにも環境が違いすぎて、すれちがいどころか断絶している。


お堅いメガネの銀行マンと業界用語を駆使するチャラいプロデューサーというステレオタイプの空想をするまでもなく、とりあえず相性は最悪そう。もしかしたら、スラムダンクの桜木花道と流川楓以上に相性が悪いのかもしれない。


例えば、金融業界に多く存在するであろう「お金にキッチリしていて、勤勉で、さらにお金を稼ぐことに熱意がある人」は、エンタメ業界の人間に言わせれば、「お金にうるさく"金に汚い人間"」になり、金融業界の人間が蛇蝎の如く嫌悪するであろう「お金に対してアバウトで"お金にルーズな人間"」は、エンタメ業界からすれば「お金にこだわりが無く鷹揚で、人間関係や自分の好きなことを大切にしている人間」という好感の持てる人物になる、というのが好例であろう。


これは、両業界の文化や価値観の相違に根ざした物事を眺める視点の違いからもたらされたものであり、同じ人物を評しても、その評価機構が違う為に、一方に言わせれば「義理堅く人情味がある、いわゆる"浪花節の分かる人"」も、もう一方に言わせれば「ビジネスの中にまで人間関係を持ち込んでくる"私情を絡めて人間"」に成り下がり、「公私をしっかりと分け、ビジネスにおいては是は是、非は非としっかり判断をしていく人間」「ビジネスライクで人情味がない"義理を欠く人間"」へと貶められるのである。


事物に対する評価機構の異なる相容れない人種同士の上に、使用言語もまるで異なり、その乖離幅は異国言語に触れているかの如し。


投資と融資の違いが分かるエンタメ業界の人はどれだけいるのだろう?
制作と製作の違いが分かる金融業界の人はどれだけいるのだろう?
商法上の匿名組合と民法上の任意組合の違いは?
プロデューサーとディレクターの違いは?
一方の業界にとっては当たり前のことでも、他方にとってはチンプンカンプン。
そんな言葉生まれて初めて聞きました、なんてことも多かろう。


こんな、まるで接点のない金融業界とエンタメ業界をくっつけてみたら、
どのような化学反応が起こるのか。
そしてどのようなことが出来るのか。その答は本書の中に。


安西先生が桜木と流川を評して、「案外、日本を騒がせるコンビになるかも」とその将来を暗示したように、金融とエンタメのコラボには夢と希望が詰まっている。