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改訂版 脱税のススメ

民主党の小沢一郎代表の強みは何かと言われたら、極論すればこんな所であろうか。


「麻生でない事」「自民でない事」


失言・暴言をポロポロとこぼしまくる首相が勝手にコケて、心証を悪くさせてくれたおかげで、自民党は自滅の道をまっしぐら。それを尻目に、ただ座して待つのみで相対的に優位に立っていたおいしい状況の中において、唯一気を付ける事が何らかのスキャンダルに巻き込まれないようにする事くらいだったであろうに、そういう時に限って招かれざる客がやって来る。


公設第1秘書の政治資金規正法違反容疑による逮捕。相手の敵失に高笑いしていたら、自らもやってしまったというなんともお寒い顛末である。まぁ、共和党が今後どのような帰結に至るかといった事や、国策捜査かどうかは僕にとってはどうでもいい事ではあって、むしろとても気になる事は、政治家って税制面で優遇され過ぎではなかろうか?という事である。

脱税のススメ -改訂版-
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脱税のススメでは故松岡農相の事務所経費問題について言及している部分があるので、一部引用してみよう。
政治家というのは、ある種、税制のアンタッチャブルな存在である。国会議員は、歳費という決められた額の収入があるが、それ以外のものについては、政治家個人がもらうのではなく、後ろに控える政治団体がもらう、という建前になっている。その政治団体は、一般的な事業者ではないので、税金を納める必要がない。したがって、仮に事務所経費に不自然な点があったとしても、国税はほとんど調査ができないのである。



もちろんその会計処理には国民の血税が使われているのだから、完全に野放しというわけではない。政治家は収支報告書を総務省に提出する決まりになっている。



しかし、その収支報告書は非常に緩いもので、事件が起きた2007年当時は、領収書の添付も義務付けられていなかった。つまりは、適当に数字を書いても、その真偽の確かめようはなく、事実上、政治家のやりたい放題になっていたのである。



また、これまで時折、政治家が政治団体の金を私的に流用するといった事件も起こっている。その場合、政治団体の問題ではなく、政治家個人の問題となるため、国税も介入することができる。しかし、それが分かっていたとしても、国税はなかなか動かない。



なぜか?



率直に言えば、税務署が政治家に弱いためである。ご存知のように、税務署員も公務員である。そして、その公務員の上には、ボスとして国会議員がいる。政治以外の世界でもそうだが、普通、子は親にツバは吐けない。税務署も国会議員に手出しができないのである。



これまで脱税で摘発された国会議員も何人かいる。しかし、それらはすべて事情がある者だけである。



過去には自民党のキングメーカーとして知られた金丸信が、脱税で摘発されたことがある。しかし、それは金丸氏が佐川急便の闇献金問題で失脚した後のことで、なおかつ、国税が国民の強い圧力に負けて、ようやく重い腰を上げたことに過ぎなかった。もしも国民が何も言わなければ、脱税の摘発もなかったのではあるまいか。



日本で民主主義が成立してからこのかた、政治と金の問題は常に不可分だった。そうした政治腐敗を浄化するには、税務署が勇気を持って、税制の聖域に踏み込む必要がある。聖域なき税制こそ、正浄な政治の礎となるはずだからだ。

収支決算書というペラ紙を提出するだけで許される上に、そもそもよほどのことがない限り税務署に睨まれない政治家さん方と違って、300万円を超える事業所得等を稼ぐ一般の事業者には記帳あくる義務が存在し、税務署には睨まれる。


売上高の過少申告は許さない、経費の過大算定は認めない、棚卸資産の過小評価もしてはいけない、という風に。


税効果会計は税金をコストの一種であるとみなす事によって成立する議論であるが、そんな事を言い出す必要もなくできれば税金は払いたくない、少ない方がいい、というのが人情であろう。


そのような一般事業者の切なる願いが過剰な形で結実した行為が脱税であるが、税負担を減らしたいという止むこと無き願望は、法の間隙や灰色の部分を衝いた複雑なスキームという形となって結晶化する。


本書には、客に渡したレシートの分だけ印紙税がかかり、変換されたレシートには印紙税が掛からない、という点に着目した雑貨店が同じレシートを二枚出るようにレジスターを改造する話や、人件費を外注費と偽って経費参入し、消費税負担を圧縮する人材派遣業の話など、よくもここまでやるものだという事例が豊富に掲載されている。



極めつけは、宗教法人を買収し、僧侶に対する仕事斡旋とそのリベートをお布施として買収した宗教法人に還流させる、という二重、三重の仕掛けを編み出した葬儀社の脱税スキームである。宗教法人は税制上の聖域であり、僧侶からの宗教法人への上納金は非課税である。この2つを利用した葬儀社の脱税スキームは、もう見事としか言いようがない。


政治家の脱税も、一般事業者の脱税も、脱法行為という点で同罪であるが、権力を行使するか、頭を駆使するか、という点が異なる分だけまだ一般事業者の方がマシだと考えるのは不謹慎であろうか。そして税制の設計者は、「制度設計の肝は自らとその周囲には甘く、その他には厳しく。利用価値のある者には何らかの報奨を。」などと考えているのではないかと、疑ってしまいたくなる今日この頃。

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