世代間の助け合いなどという美辞麗句の下、この改革案を断行すれば将来において社会保障制度は安定する、といった甘言を弄しながら、既存の社会保障制度を維持する為に、実質的な給付カットや保険料の値上げが効果判定不能のまま場当たり的に行われる。しかし、それでも一向に改善の余地が見られない社会保障制度にまつわる諸問題の根源には、どのような問題が伏流しているのだろうか。
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こう問題提起をしておきながら、社会保障制度の存続可能性に疑義が投げかけられる主たる原因は何か、真犯人は誰か、というと、なんの目新しさや意外性も無く、少子高齢化がその原因であり、真犯人である。
但し、この少子高齢化という問題は身近であるが故に危機意識を駆り立てられる事が少なく、人口が減れば通勤時の満員電車が緩和されていいじゃないか、とか、大都市圏ももう少しゆとりとスペースのある暮らしが出来るようになるじゃないか、といったような無邪気な受け止め方すらされるであろう事が否めない。
だが、甘い現状認識とは裏腹に、現実とはかくも厳しいもので、少子高齢化問題×賦課方式の社会保障制度=死に至る病というような方程式が存在してもおかしくないほど、両者のコラボレーションは危険極まりない様相を呈している。
この問題に対して、たった一つの鮮やかな解決策は無い。問題の病根は深く、そのようなもので取り除けるほど容易い代物ではない。しかし、本書はこの病魔の進行を遅延させる効能があるかもしれない。そして、現状認識を共有し、諸問題の解決に向かって歩を進めるのに適した本であると言える。
又、本書を読了すると、社会保障制度の構造、社会保障制度が置かれている状況、官僚や政治家の思惑、制度の歴史的背景とその成立過程、少子高齢化問題との関係、賦課方式と積立方式との差異、といった事が横断的に理解できると思う。是非、御一読を。





