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住宅政策のどこが問題か


「私たちが自然的な現実であると思い込んでいるものの多くはイデオロギー的に構築されたものである」と哲学者サルトルは語ったが、どうやら持家を選好し、新築物件に過剰な思い入れを抱く一般的な日本人の住宅に関するスタンスも、自らが主体的に選び取ったものというよりはむしろ、政府の住宅政策によってそのように考える方向へと誘導された結果であるのかもしれない。

住宅政策のどこが問題か (光文社新書)
住宅政策のどこが問題か (光文社新書) 平山洋介

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star住宅政策・・とは?

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つまり持家志向とは単純に、政府が家族の面においては無配偶者ではなく有配偶者を、仕事の面においては中小企業ではなく大企業に属するもの、及び非正規雇用者ではなく正規雇用者を、そして住宅の所有形態においては借家ではなく持家を優遇するといった制度上の有利/不利を人為的に作り出した上で、このようなインセンティブに対して素直に反応する・出来る層のみを過剰に厚遇し、そこからこぼれ落ちた者たちの自主的な努力を喚起させることによって緩やかな統合を図った結果に過ぎないわけで、そこに意志の介在する余地など元々存在しなかったのではないだろうか?


貴方達はただ我々の思い通りに操られる人形でありさえすればよい。
そうすれば、人形なりに幸せな人生を歩ませて差し上げよう。


そんな風に思っていたかどうかは知らないが、社会権の拡充による弱者救済を申し訳程度の残余的な施策として脇に追いやり、社会を構成するマジョリティが歩むべき標準パターンのライフコースを指し示すという政府の住宅政策における基本スタンスは、少子高齢化が加速を続け、経済が長期低迷を続ける昨今において標準パターンのライフコースを歩まない、もしくは歩めない人の大量発生により、無残にもその限界を露呈し続けている。


そして、筆者はこのような感じで本書を結ぶ。

人為的なシステムによってもたらされた災厄の芽を摘み取るためには
人為的なシステムの来し方、行く末を見定めて再構築するか、
もしくは新たな道を暗中模索するかしかない。

つまり、持家社会から何処に向かうのかは、
私たちがどのような社会に住みたいか、
という問いに対する回答にかかっているのだから、
ちゃんと頭を使って考えなさいよ、ということだ。
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