個人的には陰謀史観は眉唾モノだと思って忌避していたのだが、本書を読了後そのような偏見は良い意味で覆された。陰謀など企むまでもなく、既に全世界の経済システムは、とある一部の集団に握られている。
サブプライム・ローンの証券化について、その組成から問題点までを概説、詳説した書籍や、資本主義経済の終焉を謳った書籍は、今が稼ぎ時とばかりに山ほど出版されているが、その背景に伏流している人脈の相関関係には無関心。 本書は、この金融資本の表舞台で主役を張った大物達がどのような出自を持ち、どのような関係性を有しているのかを解きほぐした好著である。
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本書は、今回の経済不況についてこのように語る所から始まる。
好況時には、資本主義万歳。好業績に対する見返りは当然の権利とばかりにいただけるものは何でもいただく。何十億、何百億の超高額年棒にストック・オプション、未実現利益の先食いによるボーナス支給等なんでもござれ。
不況時には、経営責任を認めず、経済環境のせいにする。困った時には社会主義へと転向し、従業員を人質代わりに、ウチを潰したら世の中に失業者が溢れかえるけど、それでもいいの?と政府を恫喝する。
これは、国際的金融危機ではなく、国際的金融腐敗である。それも倫理的、及び精神的側面をも内包した根深い腐敗である。 ・・・・・・・と。
それでは本書に登場する、この金融腐敗を結果的に主導し、
金融物語の主役を演じた大物達を列挙してみよう。
・ロバート・ルービン(財務長官)
・ローレンス・サマーズ(財務長官)
・サンフォード・ワイル(シティグループ創立者・会長)
・アラン・グリーンスパン(FRB議長)
・ヘンリー・キッシンジャー(キッシンジャー・アソシエーツ会長)
・ポール・サミュエルソン(デリバティブの源となったノーベル経済学賞受賞者)
・リチャード・ファルド(リーマン・ブラザーズを破綻させたCEO)
・ジェームズ・ウォルフェンソーン(世界銀行総裁)
・マイケル・デヴィッド=ウェイル
(ウォール街長者第一位のラザール=フレール会長)
・ペニー・ブリッツカー(オバマの金庫番)
・ジョージ・ソロス(ヘッジファンドの王様)
実は、彼ら全員がユダヤ人であるという共通点があるのだが、更に奥深い共通点にこそ、今回の金融腐敗物語を読み解く鍵が伏流している。 それは彼ら全員が、世界最大の金融財閥ロスチャイルドの息がかかった人脈である、という点。
つまり、一見近代的に見えるアメリカ政界もヨーロッパ財界も、中世の王室貴族と同じで、彼らのような人材に頼らなければ富める国を創ることが出来ない、という点に問題の根源が存在するのである。
ロスチャイルド財閥の息がかかったユダヤ人脈である、という事がどういう事か、具体的に著述されている箇所があるので、以下に少々長いが本書を引用してみよう。
その為、産業革命と共に、現在のドイツ金融街、フランクフルトのユダヤ人ゲットーから台頭した両替商のロスチャイルド家の五人兄弟が、その類稀な才能を発揮して、ヨーロッパ全土で国家や王室を凌ぐ富商として財閥を形成してゆきました。
それだけではなく、その近親者であるユダヤ人一族の両替商(個人銀行家)が全世界に散らばって、互いに連携を取りながら、金銀ダイヤ取引と投資銀行を席捲する事になったわけです。
このキリスト教徒とユダヤ教徒の関係は、江戸時代にあったと言われてきた日本の士農工商に似ています。 商人が最下位に置かれながら、朝廷も藩主も武士も、鴻池や三井たち豪商の両替商なしには何も出来ず、江戸時代の発展は、商人に頼りきっていました。 武士が支配していたなどと後年に語られる士農工商の形式的な身分の上下は、実力の上では逆転していたのです。
こうして誕生したロンドンとパリのロスチャイルド銀行を中心に、ラザール・フレール、ハンブローズ銀行、SGウォーバーグ、オッペンハイム商会、ランベール銀行、クーン・レーブ商会、リーマン・ブラザーズ、ゴールドマン・サックス、ソロモン・ブラザーズ、LFロスチャイルド証券・・・・・、これらがすべてユダヤ人の、それも近親者の一族によって設立され、経営されてきました。
そして、 ハンブローズ銀行はフランスの大銀行ソシエテ・ジェネラルに合体、SGウォーバーグはスイスの大銀行UBS(スイス・ユニオン銀行)に合体、クーン・レーブ商会とソロモン・ブラザーズはアメリカの大銀行シティ・グループに合体という具合に、世界の大銀行が投資事業へと本格的に進出する際に、ロスチャイルド系のマーチャント・バンカーの手を借りるという構図が出来上がります。
つまり、彼らライバル銀行同士がロスチャイルド系マーチャント・バンカーを媒介にして、国際的なシンジケートを組んでいるわけで、国際的金融マフィアと謳われる所以がここに存在するのである。
リーマン・ブラザーズは破綻したし、ゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーは銀行持ち株会社に移行した。メリル・リンチはバンク・オブ・アメリカに、ベア・スターンズはJP・モルガン・チェースに買収されて、業界第一位から五位まで皆いなくなってしまったから、投資銀行の時代は終焉したんでしょう?
この無邪気な疑問が、まるで見当違いかつ事実誤認である事が、今までの引用と説明から分かるだろう。
今回の経済不況は、構築された経済システムそれ自体の内包するシステムエラーが顕在化したものであり、金融危機を全世界にばら蒔いた張本人を探し出して、その罪状を糾弾するだけでは抜本的解決足りえない。
確かにロバート・ルービンやローレンス・サマーズ、アラン・グリーンスパン、ベン・バーナンキ、リチャード・ファルドといった面々には、一連の事柄に対する結果責任が問われて然るべきではある。
しかし、それは単なる対症療法。 国民感情の一時的ガス抜き程度の効能しか期待出来ない。根本的原因はユダヤ人を軽蔑、迫害し続けるその裏側で、ユダヤ系金融ネットワークの力に依存しなければ、早晩立ち行かなくなる社会構造が厳然と存在する点にある。
まぁ、根本的原因が分かったからといって、どうにかなる問題ではないが、政府と金融業界、それにIMFやWTOといった国際的な機関の要職全てに、ユダヤ系人脈が根を張っているのが諸悪の根源と断罪して、ユダヤ人迫害を是とする世論が蔓延る事自体には承服しかねる。
そもそも、世の中を良くする為とかいって、ユダヤ人迫害の正当性を主張するのは、明らかに論理のすり替えだし。 世の中には解けないパズルが多すぎる。要はそういう事なのだろうか。






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